ロボットの「骨格」に当たる金属の関節やギヤは、長い時間こすれ合ううちに削れていきます。これを摩耗と呼びます。内部に入っている油(グリース)が古くなり粘り気を失うと、金属同士が直接こすれて発熱や異音が起こり、最終的には動きが止まることがあります。油を替える目安はおよそ三千〜五千時間ですが、暑い場所や重い物を持つ仕事では早めに替える方が安全です。症状が進むとモーターがいつもより多くの電気を食い、振動計で測る「揺れ」の値も上がります。こうした小さな兆しを毎日の点検で数値として残し、普段の値と比べると、部品が限界を迎える前に計画的に交換できます。
ロボットを動かす電気や信号が乱れると、いきなり止まったり予期せぬ動きをしたりします。モーターへ流れる電気が多すぎると「過電流」と呼ばれる警報が出て、自動で停止する仕組みです。この場合はまず工場に来ている電圧を測り、次にロボットのケーブルが切れかけていないかをテスターで調べます。
また、ロボットとコンピューターが会話するネットワークが混んでタイムアウトすると「通信エラー」と表示されます。スイッチやハブの設定が半分しかスピードを出せないようになっていたり、信号を優先的に通すプログラム(QoS)がうまく動いていなかったりするのが代表的な原因です。パソコンで信号の流れを録画(パケットキャプチャ)し、どこで渋滞が起きているかを確認すると、早く解決できるでしょう。
ロボットを動かす「脳」であるコントローラは、細かい数値や手順(プログラム)で命令を受け取っています。この順序が崩れると「フローエラー」という警報が出て止まります。たとえば同じ場所へ高速で何度も突っ込む命令になっていると、機械がぶつかる危険を感じて自分でストップします。エラーが起きたときには時間順にログを並べて、どの命令が最初の引き金になったかを探すと根本原因を見つけやすくなります。
おかしいと感じたら、真っ先に非常停止ボタンを押します。そのあとロボットの電源スイッチを切り、破損などの異常がないかを目視で確認します。
ロボットには「軽い注意」「中レベル」「重大」といったランクのアラームが備わっており、画面に番号が表示されます。まずはこの番号と時刻をメモし、USBなどにログを保存します。重大アラームではモーターへの電気が自動で切られているので、まずは機械の外観や配線に異常がないかを目で調べます。軽いアラームでもプログラムの条件が間違っていることがあるため、動作速度を最低に落とした状態で一行ずつ実行し、どこで止まるかを確認すると手がかりが得られます。
エラー番号だけをインターネット検索すると、機種が違う解説を読んでしまう恐れがあります。公式マニュアルをダウンロードし、数字で直接引く方法がおすすめです。
ログを見ても復旧方法がわからない場合は、契約しているサポート窓口に連絡します。サポート窓口人連絡をするときは、ロボット本体の型番、ソフトのバージョン、エラー番号、現場の写真を用意しておくと会話がスムーズです。
毎日の点検では、ロボットの音が大きくなっていないか、モーターが熱くなりすぎていないかといった「普段と違う様子」を検知することが大切です。定期的に様子をチェックし、普段と異なる挙動がある場合はすぐにヘルプサポートを依頼しましょう。
また、事前に保守サービスをしてくれる会社に予防保全を依頼しておくことも有効です。事前にこのような対策をとっておくことにより、急なエラーにも慌てずに対応することができるでしょう。
なお、当サイトではサービスロボットの用途別におすすめの保守会社を紹介しています。ぜひ併せて保守会社選びの参考にしてください。



※2024年8月8日にGoogle検索で「ロボット保守」と検索した際に表示されるサービスロボット保守会社の中で、唯一。BIB Robotics Japan社のスマート清掃ロボット「J40」及びIDRIVERPLUS社の無人運転清掃ロボット「VIGGO」の認定運用パートナーとして保守サービスを提供。
※2:参照元:DFA Robotics公式HP(https://dfarobotics.com/topics/xsp--g9xq/)、2021年11月~2024年9月時点